2021/10/14 18:25
着る人の気分を彩りたい。
日本最高峰のニット産地・新潟県五泉市の工場直販ブランド「toiro(トイロ)」です。私たちは、国産ニットの魅力を伝えるための商品を目指して「十人十色の着こなしに溶け込むニット」をコンセプトに掲げて、毎年4〜5型の新作をリリースしています。
例年のラインナップとしては、、、
定番となる「プルオーバー」を1〜2型。
同じく、定番的に着回せる「カーディガン」を1型。
そこに、加えて
何かしらの野心作を1型。
例えば、ニットアウター、ニットパンツ、タートルネックなど。ちょっとした挑戦を込めて、数年に一度、作るアイテム。
そして、ときどき「小物(ストール、ニットキャップなど)」が加わって来るというバランス。
ユーザーにとっては、毎年、じっくりと選んだ一着とか二着を購入し続けて、自らのワードローブに溶け込ませていく。買ったり買わなかったりの年を3〜5年くらい続けていくと、自然と、コーデの中のニット類が完成していく。そんなサイクルで新作をリリースしています。
今日は、今シーズンの挑戦作「ラクーンのタートルネック」についての紹介です。これは、数年に一度しか作らないアイテム。今年で通算3回目のタートルネック。toiro、9回の秋冬のうち、登板回数3回。実に5年ぶりの登場。
初登場は2013年。
コンスタントに作ってはいませんが、タートルネックは、結構、得意なアイテムです。2013年のデビューシーズンに作った際、多くのニットファンの心に刺さって、8年経った今も、SNSのメッセージでも、展示会などでも直接、目を見て「もう作らないんですか」と強めに言って頂くこともあります。(すいません)
この年に作ったのは、少し変わり種。ユルめのオフタートル。ドルマンスリーブで、袖も短め(七分袖)。左フロントに、太めのケーブルが入った「可愛いめの印象」の一着。
デビュー期のフラッグシップとも言えるアイテム。テレビ、新聞、雑誌などで取り上げて頂いた際は、すべて、このオフタートルのビジュアルでした。結果、販売し始めると同時に即完売。
二度目の登場は、2016年。
好評でありながらも「toiroらしさとは何か」を模索し続けて3年。全くカタチを変えて、新しいタートルネックを作りました。それが2016年。素材は「ネップ」を使いました。
ネップとは、繊維が絡み合ってできた節(糸のかたまり)。この節を意図的に作った糸を「ネップ糸」と呼ばれ、この糸を使うニットは、生地全体にポツポツと節の模様が生まれます。
この素材感は、ネップの不均一な糸の印象で「自然由来」や「手づくり」のようなニュアンスが生まれることもあってカジュアルな印象のアイテムになります。
どちらかと言えば、不評でした。前回の復活を期待されたファンからは「違います。これじゃない」と、ちゃんと言われ、販売面でも苦戦した記憶があります。とは言え、シーズン終盤には完売しましたし、一部の方には「こういうのを待っていた」とも言って頂きました。
ここで多くのヒントを得ました。タートルネックは、やはり「野心作でいいのだろうな」ということ。つまり、毎年、リリースするプルオーバーなどの定番品よりも、振り幅を広めに取った方がいい。次回は「気持ちのいいタートルネック」を目指そう。手ざわり、着心地がクセになるものを追求しよう、と。
そして、2021年に三度目の登場。
待望のタートルネックは、極上のタッチを探し続けて5年。ようやく、最上級のラクーン(タヌキ)に辿り着きました。柔らかさ、手ざわり、発色とどれを取って一級品。首元ふんわりの高級感。このタッチを是非、体感して頂きたい。
素材は一級品。
光沢があり、柔らかく、毛足の長いラクーン(たぬき)。あえて、ゆったりとしたシルエットでデザインしました。とびきりのリラックス感を楽しんでください。
動きに合わせて生まれる、ゆるやかなドレープ。それは、ぬるっとした光沢のある毛質
腕パーツは、他のアイテムに比べて、ふんわりと膨らみつつ、袖リブにしっかりとテンションをかけて、袖口の「たまり」が独特のシルエットを生み出します。
女性ファンの皆様から、展示即売会で頂いた貴重なご意見を丸ごと反映しました。袖の指穴付き。タートルネックのキツ過ぎず、ユル過ぎず。この辺は、皆さんと作り上げた一着。
こちらも男女兼用。
サイズ感でいうと、上の写真の女性は、165cm。size-Mを着ると、この感じ。ややゆったり。同じsize-Mも、170cmの男性が着ると、こんな感じ。ポケットが付いていることもあって、パーカのような感じの着まわしになるかと思います。
女性と男性では「体型」や「手持ちのアイテム」との違いで、同じアイテムでも、違う文脈での着こなしになることも興味深いですよね。
これは、伸縮性の高いニットの特性であり、私たちtoiroが追求している「十人十色の着こなし」が、より体現できるアイテムとも言えます。
と、今日も無駄に長くなってしまいましたが、要点としては「タートルネックは、毎年つくりません」ということ。今年も完売したら、そこで品切御免。追加生産はいたしませんので、気になるのであれば、是非とも手持ちのワードローブに加えてください。きっと馴染むと思います。
そして、繰り返し強調したいのは「何年もかけて、ようやく理想的な素材に出会えて作った傑作」ということ。極上のタッチは、違いの分かる大人のニットファンにこそ、愛される間違いのない一着かと思います。
めちゃくちゃ長文になってしまいました。お付き合いいただき、感謝です。